前回の「心房細動の発覚から術前検査までの経緯(前編)」に引き続き、今回はついにカテーテルアブレーション手術本番編をお届けします。
まずは結論からご報告させてください。7月1日〜3日の2泊3日の入院を経て、手術は無事に成功しました。
この記事では、入院初日のリアルな過ごし方や、「手術の痛みや辛さ」、そして「最終的にかかった医療費の総額」までを公開します。これから手術を控えていて不安な方の参考になれば嬉しいです。
【1日目】7月1日:術前準備と、意外と暇な入院初日
2泊3日のスケジュールのうち、1日目は「事前の検査と手術準備」がメインになります。私の初日のタイムスケジュールはこんな感じでした。

10:00〜 午前中は検査と準備で大忙し
10時に病院へ到着し、入退院の受付を済ませます。そのまま休む間もなく、採血、心電図、レントゲンといった一通りの検査をこなしました。
10時30分には病室へ案内され、11時頃に看護師さんへ各種承諾書を提出。ここから24時間心電図のモニターを装着し、今後の日程説明を受けます。この時、術中の脈拍確認のためなのか、足の甲の動脈部分に油性ペンで丸印(目印)を書かれたのがなんだか新鮮でした。
そして11時30分。看護師さんからバリカンを手渡され、「右足の付け根(カテーテルを入れる部分)の毛を剃ってください」との指示が。アブレーション手術の体験談でよく見る“アレ”を自分で処理しつつ、全身麻酔に関する詳しい説明を受けました。
12:00〜 昼食とお買い物(手術用のおむつ)
12時に病院のお昼ご飯を食べた後、看護師さんの指示で院内の売店へお買い物に行きました。買ったものは「巻きおむつ」と「尿取りパッド」を1枚ずつ(合計260円)です。
「え、大人なのにおむつ!?」と驚くかもしれませんが、カテーテルアブレーション手術は、足の付け根の止血のために数時間ベッドの上で絶対安静(寝返りもNG)になります。そのため、手術用の準備として必須アイテムなんですよね。
13:00〜 就寝まで:拍子抜けするほど暇な時間
午前中のバタバタが終わると、13時以降はめちゃくちゃ暇になります。本当にやることがありません。
奇しくもこの日(7月1日)は、私がプレイしているゲーム『原神』のアップデート日でした。ひたすら病室でサンドローネの育成をして時間を潰していました。
18時に夕食を食べた後は、AIと危険物甲種の資格勉強をして過ごすという余裕っぷり。初めての心臓の手術前夜ですが、特に緊張で震えるようなこともなく、21時の消灯時間には普通にスヤスヤと眠りにつくことができました。
【2日目】7月2日:カテーテルアブレーション手術本番
入院2日目、いよいよカテーテルアブレーション手術の当日です。ここからは時間軸に沿って、手術前後のリアルな様子をお伝えします。
6:00〜 手術に向けた最終準備
朝6時に起床し、血圧と体温の測定。手術は9時スタートの予定です。当然ながら朝食は「絶食」で、7時以降はお水などの飲み物も一切NGになりました。
7時30分頃から、手術に向けて「ソルデム(水分や電解質を補給する点滴)」が開始されます。いよいよだなぁと少しずつ実感が湧いてきました。
9:00〜 手術室へ。そして全身麻酔で意識を失う
時間になり、看護師さんと一緒に徒歩で手術室へ向かいます。ドラマのようにストレッチャーで運ばれるのかと思いきや、自分で歩いていくんですね。
そして手術室に入って一番ビックリしたのが、室内に10人以上のスタッフさん(医師や看護師、技師の方など)が待ち構えていたことです。圧倒されつつ、言われるがまま手術台のベッドに横になりました。
「深呼吸してくださいねー」と言われ、スーハーと息をしているうちに全身麻酔が効いてきて…気付けば完全に意識が途切れていました。
手術中の痛みや熱さは?
全身麻酔(寝る麻酔)だったので、手術中の記憶は一切ありません。カテーテルを入れる痛みも、心臓を焼く熱さも、まったく感じることなく終わっていました。
11:00〜 手術終了。目が覚めると拘束状態
病室のベッドの上で目が覚めたのが11時頃。手術自体は準備を含めて2時間ほどで終わったようです。
麻酔から覚めて最初に感じたのは、「足の付け根(カテーテルを入れた場所)」「胸周り」、そして人工呼吸器の管が入っていたであろう「喉の奥」の痛みでした。そしてふと下を見ると…右足がベッドにガッチリと縛り付けられて(拘束されて)いる状態です。
これが噂に聞いていた「術後の絶対安静」です。カテーテルを通した足の付け根の動脈をしっかり止血するため、数時間は右足を一切曲げたり動かしたりしてはいけません。

術後が一番の山場。最大の敵は「食欲不振」と「天ぷら」
術後、体を少し起こしただけでダラダラと汗が出るような状況で、体力的にはかなりキツかったです。そして何より辛かったのが「強烈な食欲不振」でした。心臓や傷口が痛いというより、全身のダルさが本当にしんどかったです。
■ 12:00(昼食)
食欲は最悪でしたが、少しでも回復するために、軽い昼食(ロールパン3個、ヨーグルト、バナナ)をぼーっとしながら何とか胃に流し込みました。
■ 13:00〜15:30(安静解除まで)
13時に右足のテープが少し緩められ、15時30分にはテープも拘束具も完全に外されて自由の身に。「拘束時間が辛かった」という体験談をよく読みますが、私の場合は麻酔の影響?でずっと眠かったため、尿意や便意もなく、ほとんど寝て過ごせたのでそこまで苦痛ではありませんでした。
■ 18:00(夕食)
拘束は解けたものの、ここで食欲不振がピークに。ひたすらベッドでぐったりしていた私の前に運ばれてきた夕食のメニューは、まさかの「天ぷら」…。
心の中で絶望しつつ、回復のために40分ほどかけて涙目で頑張って完食しました。これ、今回の入院生活で一番キツかったかもしれません。
■ 21:00(就寝)
消灯時間になりましたが、日中の安静時間にずっと寝ていた影響で、夜はなかなか寝付けないという罠が待っていました。こうして、怒涛の手術当日は終わっていきました。
【3日目】7月3日:退院時のお会計と帰宅後の体調
手術日を乗り越え、いよいよ退院日となる3日目の朝を迎えました。
午前中:抜糸と最後の検査
朝6時、頭がぼーっとしてあまり気分が良くない中で採血が行われました。
8時になり朝食(小さい食パン2枚とコーンスープなど)が運ばれてきました。まだ食欲は万全ではありませんでしたが、「食べないと回復しない!」と言い聞かせ、昨晩の“天ぷら事件”の時よりは食欲も少し回復しており、なんとか完食できました。
その後、右足の付け根(カテーテルを入れた部分)の抜糸をしてもらいましたが、特に痛みはなくてホッとしました。
10時30分にはようやく点滴と24時間心電図が外れ、12時の昼食の頃にはだいぶ食欲も戻ってきており、普通に完食できるようになっていました。
13:00 退院準備と新しいお薬
13時、いよいよ退院の準備です。今後の生活についての説明を受け、退院後のお薬を処方してもらいました。
今回のお薬は、術前から飲んでいた血液をサラサラにする「エリキュース」に加えて、新たに「ベプリジル塩酸塩」という不整脈を抑えるお薬が追加されていました。

そしてこの時、あらかじめお願いしておいた「会社に提出する復職用の診断書」も、看護師さんから無事に手渡してもらえました。退院と同時に受け取れるのは本当に助かります。

次回の診察(術後1ヶ月検診)を8月3日に決定し、最後は「お会計」です。
2泊3日のカテーテルアブレーション手術・入院費用
心房細動の手術・入院費用を公開します。

【手術・入院費用(2泊3日)の支払い総額】
- 医療費(高額療養費制度適用): 57,600円
- 食事代(6食分): 3,300円
- 文書料(診断書発行代): 1,100円
合計:62,000円
窓口での支払いは合計62,000円でした。日本の「高額療養費制度」のおかげで、所得に応じた自己負担限度額(私の場合は57,600円)に抑えられています。
マイナンバーカードがあれば事前の申請は不要!
以前は、高額療養費制度を利用するために、事前に役所や健康保険組合で「限度額適用認定証」の紙を発行してもらう手間がありました。
しかし今は、マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、事前の申請なしで自動的に限度額での会計になります。これから手術を受ける方はぜひ活用してください。
退院して帰宅。心臓が…静かだ!
無事に帰宅し、夕飯は普段通りのご飯を食べることができました。食欲は80~90%まで回復!術後のどん底状態から、食べるごとに回復していくのを実感します。やはり人間、食べるって大切ですね。
術後の痛みと違和感について
退院したとはいえ、まだ体に少しダメージは残っています。
- 喉・首元・胸: 喉元に少し違和感があり、仰向けに寝ると胸の上部が少し苦しい感じがします。
- 右足の付け根(カテーテル跡): ここが一番痛いです…。動きが少し制限されるほどですが、お風呂に入った時は全くしみたり痛んだりしなかったので一安心しました。
- 少し風邪っぽい?:若干体調を崩した時のような感覚が残っています。
自覚症状がないと思っていた自分への気づき
そして手術を終えて一番感動しているのが、足首周りの軽さと、心臓の「静かさ」です。胸に手を当てても、本当に穏やかに、一定のリズムで鼓動を打っています。
私はずっと「自分は自覚症状がないタイプの心房細動だ」と思い込んでいました。しかし、手術で正常な脈に戻ってみて初めて、「あぁ、あれは明らかに動悸だったんだな」「ずっと足がだるかったのは不整脈のせいだったんだな」と気付かされました。
健康診断で異常を指摘されても、「元気だし自覚症状もないから」と放置している方はたくさんいると思います。
でも、治療してみると「本来の健康な体の軽さ」に本当に驚きます。会社の総務に呼び出されて渋々始まった治療でしたが、今となっては手術を受ける決断をして本当に良かったと心から思っています。
まとめ:心房細動の治療にかかった総額と、同じ病気で悩む方へ
最後に、今回の心房細動の治療(初診から退院まで)にかかった費用の総額と、この体験を通して私が強く感じたことをまとめたいと思います。
結局、初診から退院までいくらかかったの?(費用総額)
前編の記事でまとめた「事前の検査・通院費用」と、今回の「入院・手術費用」をすべて足した、本当の総額がこちらです。
高額療養費制度(限度額適用認定)を利用した上での、実際の窓口支払い額の合計です。
「心臓の手術」と聞くと途方もない金額を想像してしまいますが、日本の手厚い医療制度のおかげで、10万円でお釣りがくる金額で根本的な治療をすることができました。(所得によって限度額は変わりますので、あくまで目安としてお考えください)
この金額で、将来の「脳梗塞」や「心不全」の大きなリスクを減らせると考えれば、決して高い出費ではないと心から思えます。
「自覚症状がない」と放置している人にこそ伝えたい
私はここ数年、会社の健康診断で「心房細動」を指摘されても、「自分は自覚症状がないタイプだから大丈夫」と言い訳をして放置し続けてきました。
しかし、手術を終えて正常な脈を取り戻した今、胸に手を当てると「心臓ってこんなに静かだったんだ…」と驚くほど穏やかです。そして、あれだけだるかった足首周りが嘘のように軽くなりました。
自覚症状がないのではなく、「不調な状態が当たり前になりすぎて、体が麻痺していただけ」だったのです。
今年5月、会社の総務から「心房細動をちゃんと治しなさい!」と呼び出された時は、「うざいなぁ…」と少し鬱陶しく思ってしまったのが正直なところです。しかし、半ば強制的に私の重い腰を上げさせてくれた会社と産業医の先生には、今となっては感謝しかありません。
もし今、この記事を読んでいる方の中に「健康診断で引っかかったけど、元気だからいいや」と放置している方がいたら、ぜひ一度、勇気を出して循環器内科を受診してみてください。
カテーテルアブレーション手術は全身麻酔で痛みもなく(術後の天ぷらはキツかったですが…)、たった2泊3日で人生の大きな不安を取り除くことができます。
この記事が、同じように心房細動で悩み、手術を迷っている方の背中を少しでも押すきっかけになれば幸いです。長文の体験レポに最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

