2泊3日のカテーテルアブレーション手術と、そこに至るまでの通院・検査にかかった医療費の総額は、約9.3万円(3割負担・高額療養費制度利用)でした。
ただし、これは私個人のケースです。所得区分や受診する病院、追加される処置によって実際の負担額は変わるため、あくまで目安としてお考えいただき、正確な金額は病院の窓口で確認してください。
この記事では、入院初日からのリアルな過ごし方や、一番辛かった「術後の絶対安静」、そして気になる「手術中の痛み」について包み隠さず公開します。
これから手術を控えていて不安を感じている方は、ぜひ一つの判断材料としてお読みください。
結論:カテーテルアブレーション治療費の総額は約9.3万円
まずは、初診から退院までに支払った医療費の総額からお伝えします。
前編の記事でまとめた「事前の検査・通院費用」と、今回の「入院・手術費用」をすべて合わせた、実際の窓口支払い額です。
【心房細動 カテーテルアブレーション治療の総額】
- 手術前までの通院・検査費(薬代込み): 31,300円
- 入院・手術費用(2泊3日): 62,000円
- 本当の合計総額:93,300円
「心臓の手術」と聞くと途方もない金額を想像してしまいますが、日本の高額療養費制度のおかげで、10万円でお釣りがくる金額で根本的な治療を受けることができました。
この金額で将来の「脳梗塞」や「心不全」の大きなリスクを減らせると考えれば、決して高い出費ではないと感じています。
ここからは、実際の2泊3日の入院生活がどのようなものだったのか、時間軸に沿って振り返っていきます。
【1日目】術前準備と意外と暇な入院初日(おむつは必須!)
1日目は「事前の検査と手術準備」がメインです。私の初日のタイムスケジュールは以下の通りでした。

10時に病院へ到着して受付を済ませると、休む間もなく採血、心電図、レントゲンといった検査をこなします。
病室へ案内された後、今後の日程説明を受け、24時間心電図のモニターを装着。この時、術中の脈拍確認のためか、足の甲の動脈部分に油性ペンで丸印(目印)を書かれたのが新鮮でした。
下半身のムダ毛処理は自宅で済ませておくのがおすすめ
11時半頃、看護師さんからバリカンを手渡され、「右足の付け根(カテーテルを入れる部分)の毛を剃ってください」と指示を受けました。
アブレーション手術の体験談でよく見る“アレ”を自分で処理したのですが、これが非常に面倒でした。剃る範囲が狭くて一度ダメ出しをされてしまったので、前日の夜に自宅で「右半分全体」くらいを広めに剃っておくことを強くおすすめします。
また、昼食後に院内の売店へ行き、看護師さんの指示で「巻きおむつ」と「尿取りパッド」を購入しました。
「大人なのにおむつ!?」と驚くかもしれませんが、手術後は足の付け根を止血するために数時間ベッドで絶対安静(寝返りもNG)になります。そのため、手術用の準備として必須アイテムになります。
昼過ぎ以降は拍子抜けするほど暇な時間
午前中のバタバタが終わると、13時以降はめちゃくちゃ暇になります。本当にやることがありません。
奇しくもこの日(7月1日)は、私がプレイしているゲーム『原神』のアップデート日でした。ひたすら病室でサンドローネの育成をして時間を潰していました。
夕食後も資格勉強をして過ごす余裕っぷり。初めての心臓の手術前夜ですが、特に緊張で震えるようなこともなく、21時の消灯時間にはスヤスヤと眠りにつけました。
【2日目】手術本番!痛みはないが「術後の絶対安静」が最大の山場
入院2日目、いよいよカテーテルアブレーション手術の当日です。
朝6時に起床。手術は9時スタートの予定です。当然ながら朝食は「絶食」で、7時以降は水などの飲み物も一切NGになりました。7時半頃から、水分や電解質を補給する点滴が開始されます。
全身麻酔のため手術中の痛みや記憶は全くなし
時間になり、看護師さんと一緒に徒歩で手術室へ向かいます。ストレッチャーで運ばれるのかと思いきや、自分で歩いていくんですね。
手術室に入って一番驚いたのは、10人以上のスタッフさん(医師や看護師、技師の方など)が待ち構えていたことです。圧倒されつつ、言われるがまま手術台に横になりました。
「深呼吸してくださいねー」と言われ、スーハーと息をしているうちに全身麻酔が効いてきて…気付けば完全に意識が途切れていました。
全身麻酔(寝る麻酔)だったため、手術中の記憶は一切ありません。カテーテルを入れる痛みも、心臓を焼く熱さも、まったく感じることなく終わっていました。
最大の敵は強烈な食欲不振と夕食の「天ぷら」
病室のベッドの上で目が覚めたのが11時頃。手術自体は準備を含めて2時間ほどで終わったようです。

麻酔から覚めて最初に感じたのは、「足の付け根(カテーテルを入れた場所)」「胸周り」、そして人工呼吸器の管が入っていたであろう「喉の奥」の痛みでした。
そしてふと下を見ると、右足がベッドにガッチリと縛り付けられて(拘束されて)いる状態です。
これが噂に聞いていた「術後の絶対安静」です。動脈をしっかり止血するため、数時間は右足を一切曲げたり動かしたりしてはいけません。
体を少し起こしただけでダラダラと汗が出るような状況で、体力的にはかなりキツかったです。そして何より辛かったのが「強烈な食欲不振」。心臓や傷口が痛いというより、全身のダルさが本当にしんどいのです。
昼食はぼーっとしながら何とか胃に流し込み、15時半には足の拘束が完全に解除されました。私の場合は麻酔の影響でずっと眠かったため、尿意などもなく、ほとんど寝て過ごせたのでそこまで苦痛ではありませんでした。
しかし、食欲不振がピークに達した18時の夕食。ぐったりしていた私の前に運ばれてきたメニューは、まさかの「天ぷら」でした。
心の中で絶望しつつ、回復のために40分ほどかけて涙目で頑張って完食しました。これ、今回の入院生活で一番キツかったかもしれません。
【3日目】退院手続きとお会計、気になる術後の体調
手術日を乗り越え、いよいよ退院日となる3日目の朝を迎えました。
朝6時に採血、8時に朝食です。まだ食欲は万全ではありませんでしたが、昨晩の“天ぷら事件”の時よりは回復しており、なんとか完食できました。
抜糸の痛みはなし!退院と同時に診断書も受け取り完了
午前中に右足の付け根の抜糸をしてもらいましたが、特に痛みはなくてホッとしました。
10時半には点滴と24時間心電図が外れ、12時の昼食の頃にはだいぶ食欲も戻ってきました。
13時、いよいよ退院の準備です。今後の生活についての説明を受け、退院後のお薬を処方してもらいました。今回は血液をサラサラにする薬に加え、新たに不整脈を抑える薬が追加されています。

そしてこの時、あらかじめお願いしておいた「会社に提出する復職用の診断書」も無事に受け取れました。退院と同時に手渡してもらえると、その後の手続きがスムーズで本当に助かります。

マイナンバーカードがあれば高額療養費の事前申請は不要
最後は窓口でのお会計です。

【手術・入院費用(2泊3日)の内訳】
- 医療費(高額療養費制度適用): 57,600円
- 食事代(6食分): 3,300円
- 文書料(診断書発行代): 1,100円
- 合計:62,000円
以前は、高額療養費制度を利用するために、事前に役所や健康保険組合で「限度額適用認定証」を発行してもらう手間がありました。
しかし今は、マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、事前の申請なしで自動的に限度額での会計になります。これから手術を受ける方は、ぜひマイナンバーカードを持参してください。
まとめ:自覚症状がないのではなく「不調に麻痺」していただけ
無事に退院して帰宅すると、食欲も80~90%まで回復し、普段通りのご飯を食べることができました。
まだ喉元や足の付け根に少し違和感があり、少し風邪を引いた時のような感覚は残っていますが、お風呂に入っても傷口がしみるようなことはありません。
そして手術を終えて一番感動しているのが、足首周りの軽さと、心臓の「静かさ」です。胸に手を当てても、本当に穏やかに、一定のリズムで鼓動を打っています。
私はずっと「自分は自覚症状がないタイプの心房細動だ」と思い込んでいました。しかし、正常な脈に戻ってみて初めて、「あぁ、あれは明らかに動悸だったんだな」「ずっと足がだるかったのは不整脈のせいだったんだな」と気付かされました。
自覚症状がないのではなく、「不調な状態が当たり前になりすぎて、体が麻痺していただけ」だったのです。
もし今、「健康診断で引っかかったけど、元気だからいいや」と放置している方がいたら、ぜひ一度、勇気を出して循環器内科を受診してみてください。
カテーテルアブレーション手術は全身麻酔で痛みもなく、たった2泊3日で人生の大きな不安を取り除くことができます。この記事が、同じように心房細動で悩み、手術を迷っている方の背中を少しでも押すきっかけになれば幸いです。

