教習項目8:悪条件下での運転
夜間の運転
前照灯と視界
前照灯の光は、上向きで100メートル、下向きで40メートル先を確認できる。
夜間…昼間より少し速度を落とし、車間距離を長めにとる
薄暮時(夕暮れ時)…暗くなる速度が早いため、暗さに順応できなくなる。早めのライト点灯を。
げん惑
夜間に、対向車のライトを直接目に受けると、まぶしくて一瞬見えなくなることがある。これをげん惑という。
対向車のライトがまぶしいときは、視点を(右前方ではなく)左前方に移す。
他の車と行き違うときは、あらかじめ前照灯を下向きにしておく。
蒸発現象
夜間に、自分の車のライトと対向車のライトで、道路の中央付近の歩行者が見えなくなる現象のこと。
特に暗い道路で起こりやすいので注意する。
灯火をつけなければいけない場合
夜間などに道路を通行するとき
夜間
夜間に道路を通行するときは、前照灯、車幅灯、尾灯などをつけなければならない。
街灯や照明がついている明るい道路を通行する場合でも、夜間は必ず前照灯などをつける義務がある。
昼間でも…
トンネルの中や濃い霧の中などで50メートル先(高速道路は200メートル先)が見えない場所を通行するときも、前照灯などをつけなければならない。
夜間などに駐停車するとき
夜間にやむを得ず駐停車するとき
非常点滅表示灯、駐車灯、尾灯のいずれかをつけなければならない。
昼間でも…
トンネルの中や濃い霧の中などで50メートル先(高速道路は200メートル先)が見えない場所に駐停車するときも、非常点滅表示灯などをつけなければならない。
ただし、道路照明などで50メートル後方から見える場所に駐停車しているときや、停止表示器材を置いて駐停車しているときは、非常点滅表示灯などはつけなくてもよい。
夜間に高速道路でやむを得ず駐停車するとき
非常点滅表示灯、駐車灯、尾灯のいずれかをつけた上で、停止表示器材を置かなければならない。
夜間に一般道路で駐停車するときは、原則、非常点滅表示灯をつけてね。
でも、駐停車した場所が道路照明などで明るいときや、停止表示器材を置いて駐停車しているときは、非常点滅表示灯をつけなくてもいいよ。
夜間に高速道路で駐停車するときは、非常点滅表示灯をつけて、停止表示器材を置いてね。
点灯制限等
室内灯の点灯制限
自動車の室内灯は、バスなどの他は走行中につけないようにする。
行き違い時などでの前照灯の操作やげん惑の回避措置
前照灯は、上向きにしておき、歩行者などを早く発見できるようにする。
ただし、交通量の多い市街地などを通行しているとき、対向車と行き違うとき、他の車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか、下向きに切り替えなければならない。
対向車のライトがまぶしい場合は、視点をやや左前方に移す。
見通しの悪い交差点などでの前照灯の操作
見通しの悪い交差点やカーブの手前では、前照灯を上向きにするか、点滅させて自分の存在を周囲に知らせる。
雨のときの運転
急発進・急ブレーキ・急ハンドル…横すべりの原因になるので避ける。エンジンブレーキを活用し、ブレーキは数回に分けてかける。
路面電車のレール…直角に横切る。
工事現場の鉄板・マンホール…あらかじめ十分スピードを落とし通過。
深い水たまり…走行すると一時的にブレーキが効きにくくなることあり。走行後は、ブレーキを軽く数回かけ効きを確かめる。
ハイドロプレーニング現象に注意…速度を落として走行する。
ハイドロプレーンとは水上飛行機のこと。
路面が水で覆われているときに高速走行をすると、タイヤが水の上を滑走してしまい、ハンドルとブレーキが効かなくなる。
すり減ったタイヤで水の上を高速走行すると起こりやすい。
霧のときの運転
霧のときは、前照灯または霧灯(フォグランプ)を早めに点灯する。
中央線やガードレール、前車の尾灯を目安に、十分な車間距離を確保し、速度を落として通行する。
前照灯を上向きにすると、霧に乱反射して見通しが悪くなるので、前照灯は下向きにする。
危険防止の必要があるときは、警音器を使用する。
道路状況の悪いときの運転
ぬかるみ、砂利道などでの運転
低速ギアを使い、速度を一定に保ちながら通行する。一気に通行してはいけない。
急ブレーキ、急加速、急ハンドルはさける。
土ぼこりの多い舗装道路では、雨の降り始めは、表面の土ぼこりがオイル状になり、滑りやすくなるので注意する。この場合、雨が降っている最中よりも、降り始めの方が滑りやすくなる。
山道などでは、地盤がゆるみ崩れることがあるので、路肩に寄りすぎないようにする。
雪道などでの運転
タイヤチェーン・スタッドレスタイヤ…タイヤシェーンは駆動輪、スタッドレスタイヤは全輪に使用。
停止時…エンジンブレーキを使い十分に減速し、ブレーキを数回に分けて踏む。
雪道の走行…可能な限りわだちを走行する。
他の車との行き違い…道路の端が見えづらいため、端に寄りすぎないように。
タイヤがスリップするとき…マットや木の枝などを駆動輪に入れてすべり止めにする。
他の車が走行したタイヤのあとのこと。
非常時等の措置
故障や燃料切れなどで走れなくなったとき
他の交通の妨げにならない場所に移動する。
JAFなどが到着するまでは、ガードレールの外などの安全な場所で待つ。
昼間
一般道路…停止表示器材を置くか、トランクを開ける。
高速道路…非常停止器材を置く。
夜間
一般道路…非常点滅表示灯をつけるか、停止表示器材を置く。
高速道路…非常点滅表示灯をつけた上で、停止表示器材を置く。
走行中にエンジンの回転数が上がった後、故障などにより下がらなくなったとき
- ギアをニュートラルにする
- ブレーキをかけて速度を落とし、道路の左端に止める
- エンジンスイッチを切る
二輪車の場合
エンジンスイッチを切り、エンジンの回転を止める。
下り坂でブレーキが効かなくなったとき(四輪車)
- すばやくシフトダウンし、エンジンブレーキを効かせ、ハンドブレーキを引く
- これでも減速しないときは、山側の車体の側面に接触させるか、土砂などに突っ込んで止める。決して車から飛び降りてはいけない。
走行中タイヤがパンクしたとき(四輪車)
- まずハンドルをしっかり握る
- アクセルをゆるめ、ブレーキペダルを断続的に踏む
- 道路の左端に寄せて止める
対向車と正面衝突のおそれがある場合
- 警音器を鳴らすとともに、ブレーキをかけ、ハンドルを切り、できるだけ左側に避ける
- 道路外が安全な場合は、道路外に出て衝突を避ける
後輪が横すべりを始めたとき
- ブレーキペダルは踏まない
- 後輪が滑る方向にハンドルを切る(後輪が右に滑ったらハンドルは右、後輪が左に滑ったらハンドルは左)
- 徐々にアクセルペダルを踏む
大地震などのとき
車を運転中に警戒宣言が発せられたとき
地震の発生に備えて、速度を十分に落とし、ラジオなどにより地震情報や交通情報を聞き、その情報に応じて行動する。
車を運転中に大地震が発生したとき
- 急ハンドル、急ブレーキを避けて、道路の左側に停止させる。
- 車を置いて避難するときは、できるだけ道路外に移動させておく。
- やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せておく。
- エンジンを止め、エンジンキーはつけたままか、車内の分かりやすい場所に置く。
- 貴重品を携帯し、窓を閉め、ドアはロックしない。
- 津波から避難するためやむを得ない場合以外は、避難のために車を使用してはいけない。