教習項目6:人間の能力と運転
認知・判断・操作
反応時間
危険な状態を認知してからブレーキをかけ、ブレーキがきき始めるまでは約1秒かかる。
この時間を反応時間という。反応時間の間に進む距離は、空走距離の一部になる。
視覚の働き
運転するときは、人間の感覚の中で視覚が最も重要。
視力
(静止)視力
一般的に視力というのは、一点を注視したときの視力なので、注視点から離れたところの視力は落ちる。
運転中は一点だけを注視するのではなく、まんべんなく注意を払う必要がある。
動体視力
動きながらものを見る場合や、動いているものを見る場合の視力。動体視力は(静止)視力に比べ低下する。
速度が速くなると視力が低下し、視野が狭くなる。そのため、速度が早い分だけ危険な状況の発見が遅れる。
視野
片目…左右それぞれ160度くらい
両目…200度くらい
色彩…完全に把握できるのは、左右それぞれ35度くらい
車の速度が速くなるほど…運転者の視野は狭くなり、近くは見えにくくなる
順応
トンネルの出入り口付近などを運転するときは、速度を落として慎重に運転しなければならない。
明順応
トンネルから出るときなどに起こる。
暗いところから急に明るいところに出ると、しばらくはまぶしくて何も見えなくなるが、徐々に目が慣れ、通常どおり見えるようになる。
暗順応
トンネルに入るときなどに起こる。
明るいところから急に暗いところに入ると、最初は何も見えないが、徐々に目が慣れ、少しずつ見えるようになる。
距離と速度の判断
夜間
夜間は、周囲が暗く景色が見えにくいため、同じ速度で走っていても昼間よりも遅く感じる。
高速道路
周囲が開けているので、実際の速度よりも遅く感じる。
車の大きさ
車体の大きい車ほど近くに感じる。小さいほど(二輪車などは得に)遠くに感じる。
認知・判断・操作に影響をおよぼす要因
飲酒
お酒を飲むと、一時的に緊張がとけ、頭が冴えたように錯覚することもあるが、アルコールは確実に脳の働きを鈍らせる。
少しでもお酒を飲んだときは、絶対に運転をしてはいけない。
また、これから運転予定のある人にお酒をすすめたり、飲ませたりしてはいけない。
飲酒の影響
- 自信過剰になる
- 判断力や自制心、遠近感が鈍る
- スピードを出しすぎる
- 距離や速度の判断が狂う
疲労
疲れた状態は、あくびや居眠り、反応が遅くなるなどの変化で現れる。
運転中の疲労とその影響は、最も目に強く現れるので、見落としや見間違いが増えたり、判断力が低下したりする。
疲労運転を避ける方法
- 少しでも眠気などの変化を感じたら、なるべく早めに休憩を取る。
- 体調が悪いときや精神状態が不安定なときは、運転をしないようにする。
- ゆとりのある運転計画を立てる。少なくとも、2時間に1回は休憩を取るようにする。
- 疲れを感じたら、早めに安全な場所に駐車し、仮眠を取ったり軽い運動をしたりする。