教習項目17:高速道路での運転
通行できない車
高速道路とは
高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路のことをいう。
通行できない車
高速自動車国道
高速自動車国道の最低速度は50km/hであるため、構造上50km/hで走ることのできない自動車は、高速自動車国道を通行できない。
- ミニカー
- 総排気量125cc以下または定格出力1.00kw以下の普通二輪自動車
- 原動機付自転車
- 小型特殊自動車
- 故障車をけん引している自動車(トレーラーなどのけん引をするための自動車は通行できる)
自動車専用道路
- ミニカー
- 総排気量125cc以下または定格出力1.00kw以下の普通二輪自動車
- 原動機付自転車
速度と車間距離
最高速度または最低速度の遵守
高速道路の速度制限は、天候や気象状況、工事や事故などによる車線の規制などに応じて変わることがある。
高速自動車国道
高速自動車国道の本線車道における最高速度は、100km/hと80km/hの自動車が存在する。最低速度はどの自動車でも50km/h。
本線車道に中央分離帯などがなく、片側一車線になっている区間の最高速度は、一般道路と同じく60km/h。
加速車線・減速車線・登坂車線・路側帯・路肩以外の高速通行ができる車線のこと。
最高速度が100km/hの自動車
- 大型乗用自動車
- 中型乗用自動車
- 車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満、乗車定員10人以下の中型貨物自動車
- 準中型自動車
- 三輪とけん引を除く普通自動車(660cc以下の軽自動車も含む)
- 大型二輪自動車
- 普通二輪自動車(125cc以下の普通二輪自動車は通行できない)
最高速度が80km/hの自動車
- 大型貨物自動車
- 車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上、乗車定員11人以上の中型貨物自動車(=特定中型貨物自動車)
- 大型特殊自動車
- 三輪の自動車
- けん引自動車
高速自動車国道における最高速度の注意点
要するに、重くてスピードを出すと危なそうな自動車の最高速度は80km/h。それ以外は100km/h。
大型・中型・けん引自動車
大型・中型乗用車の最高速度…100km/h
大型貨物自動車+特定中型貨物自動車+大型特殊自動車の3種(=大貨等)の最高速度…80km/h
準中型自動車の最高速度…乗用でも貨物でも100km/h
けん引自動車(トレーラーなど)…80㎞/h
その他
大型・普通二輪自動車の最高速度…100㎞/h
軽自動車の最高速度…100㎞/h
自動車専用道路
自動車専用道路の最高速度は、一般道路と同じく60km/h。最低速度は指定されていない。
規制速度が指定されていれば、その指定に従う。
スピードメーターの確認
高速道路を走っていると速度感覚が鈍り、速度超過になりがちなので、スピードメーターで確認しながら運転する。
安全な車間距離の保持
高速道路での安全な車間距離は、速度をメートルに読み替えた距離(100km/hなら100m、80km/hなら80m)以上の距離をとって走行する。
雨が路面に濡れ、タイヤがすり減っている場合は、この約2倍以上の車間距離が必要。
通行区分など
通行区分
本線車道での通行区分は、車両通行帯のある(片側2車線以上ある)一般道路と同じ。
左側の白い線を目安に、やや左寄りを通行する。追い越しが多いので、左側を走ることで事故防止につながる。
けん引自動車(トレーラー)などの通行区分
けん引自動車は、原則一番左側を通行しなければならない。ただし、標識や標示があれば、それに従う。
大型貨物自動車等の通行区分が指定されている区間では、大型貨物自動車と特定中型貨物自動車、大型特殊自動車(大貨等)は、その通行区分に従って通行しなければならない。
路側帯および路肩の通行禁止
高速道路の路側帯や路肩を通行してはいけない。
登坂車線の利用
荷物を積んだトラックなどの速度の遅い車は、登坂車線を利用する。登坂車線は本線車道ではないので、最低速度(50km/h)以下で通行できる。
登坂車線上り勾配の道路において速度が著しく低下する車両(例えば重量の大きな車両や特殊車両や50㏄以下の原動機付自転車など)を他の車両から分離して通行させることを目的とする車線をいう。
引用元:登坂車線 - Wikipedia
禁止事項
転回、後退または横断の禁止
本線車道では、転回、後退、中央分離帯を横切っての横断は禁止されている。
緊急自動車の通行妨害の禁止
緊急自動車が本線車道を出入りする際は、その通行を妨げてはいけない。
駐停車の禁止
高速道路では、原則駐停車をしてはいけないが、以下の場合は駐停車ができる。
- 危険防止のための一時停止
- 故障などでやむを得ない場合
- パーキングエリアでの駐停車
- 料金の支払いなどのための停車
故障時などの措置
路側帯または路肩の利用
高速道路での故障などで、やむを得ず駐車するときは、十分幅のある路肩や路側帯に駐停車させる。
故障車の表示
昼間
自動車の後方の路上に、停止表示器材を置く。後方の停止表示器材を置くことが困難な場合は、停止表示灯を置くこともできる。
ただし、昼間でも視界が200メートル以下の場合は、夜間と同じ対処をしなければならない。
夜間
自動車の後方の路上に、停止表示器材を置き、非常点滅表示灯か駐車灯または尾灯をつけなければならない。
要するに
昼間…停止表示器材(視界が200m以下の場合は+非常点滅表示灯)
夜間…停止表示器材+非常点滅表示灯
車の移動および非常電話の利用
故障などで運転できなくなったときは、近くの非常用電話(約1kmごとに設置されている)でレッカーを呼ぶなどして、すみやかに車を移動させる。
転落、飛散した荷物の撤去
荷物が転落、飛散した場合は、110番通報をするとともに、非常電話を利用して荷物の撤去を依頼する。
避難
車内に残らず、車から離れて、ガードレールの外などの安全な場所に避難する。
高速道路利用上の心得
車の点検
- 燃料の量が十分か
- 冷却水の量が規定の範囲内か
- ラジエターキャップが確実にしまっているか
- エンジンオイルの量が適当であるか
- ファンベルトの張り具合が適当であるか、損傷はないか
- タイヤの空気圧が適当であるか(高速走行をするときは、空気圧をやや高めにする)
- タイヤの溝の深さが十分であるか
タイヤの空気圧が低いまま高速走行をすると、タイヤの後ろに波の形が現れることがある。この現象のことをスタンディングウェーブ現象という。この状態のまま走行し続けると、タイヤが過熱し破裂する。
積み荷の点検
風圧などにより、荷物が転落、飛散しないように、前もって荷物を点検する必要がある。
停止表示器材の用意
高速道路上で故障などによって停止するときは、停止表示器材を置く義務がある。備えつけられているか確認しておく。
二輪車の二人乗り
高速道路では、20歳以上で、大型または普通自動二輪免許を受けて3年以上経過しないと、二人乗りはできない。
本線車道への進入
高速道路へ入るときの注意
標識の確認
高速道路の入口を予告する緑色の案内標識を確かめ、入口を間違えないようにする。
ゲートへの進入
ゲートに近づいたら、速度を落として青色の信号のブースに進行する。どのレーンに入るか早めに判断する。
ETC専用のブースは、ETCが搭載されている車以外は通行できない。
通行券の受け取り
料金所ブースでは必ず停止し、通行券を受け取る。
本線車道へ進入するときの注意
行き先の確認とランプウェイの走行
行き先を確認し、進入方向を間違えないようにランプウェイに入る。
進入方向を間違えた場合は、次のインターチェンジまで行ってから引き返す。後退や転回などをしてはいけない。
ランプウェイ日本のランプは、道路の本線車道から別の道路の本線車道へ連絡する道路である。
ランプ(Ramp)とは、道路を立体交差とする場合において、交差接続する道路相互を連結する道路のことで、「インターチェンジ」や「ジャンクション」の構造の一部となります。
本線車道への合流
加速車線がある場合は加速車線を通行し、十分に加速をしてから、本線車道を走っている車の通行を妨げないように合流する。
本線車道と本線車道が合流するところでは、優先する本線車道の通行を妨げてはいけない。
本線車道での走行
走行上の注意
急ブレーキ・急ハンドルの回避
高速走行中の急ブレーキは、スリップ事故や追突事故の原因になるので、十分な車間距離をとるようにする。
やむを得ず急ブレーキをかけるときは、一段低いギアに落としエンジンブレーキを使うとともに、ブレーキを数回に分けてかけるようにする。
高速走行中の急ハンドルは、横転事故の原因になる。あらかじめ手前で速度を落とし、車間距離を多めにとる。
トンネル進入時の注意
高速でトンネルに入ると、視力が急激に低下する。あらかじめ手前で速度を落とし、車間距離を多めにとる。
照明設備のあるトンネルでも、ライトを点灯する。
ラジオによる情報提供があるトンネルでは、ラジオを聞く。
加速車線付近を走行するときの注意
進入してくる車があるときは、速度を落としたり、追い越し車線に進路変更をしたりして進路をゆずる。
疲労時の措置
眠気や疲れを感じたら、パーキングエリアやサービスエリアで早めに休憩をとる。
追い越し
- 追い越し車線の車の動きなど、周りの安全を確認してから、早めの合図を出す。
- 追い越す車との間に安全な側方間隔を保つ。
- 追い越したあと、左へ合図をし、追い越した車がルームミラー全体に写ってから、元の車線に戻る。
天候などに応じた運転
雨天時などの運転
雨の中の高速走行は、スリップを起こしたり、タイヤが浮いてハンドルが効かなくなったり(ハイドロプレーニング現象)することがあるので、速度を落として慎重に運転をする必要がある。
ハイドロプレーンとは水上飛行機のこと。路面が水で覆われているときに高速走行をすると、タイヤが水の上を滑走してしまい、ハンドルとブレーキが効かなくなる。すり減ったタイヤで高速走行をすると起こりやすい。
強風時の運転
風が強いときは、ハンドルをとられやすい。トンネルや切り通しの出口などでは横風が強いため、速度を落としハンドルをしっかり握る。
夜間の運転
周囲が暗いため速度感覚がつかみにくく、速度超過になりがち。速度計で速度を確かめながら走行する。
前方で駐停車している車が、走行しているように見えることもあるので注意する。
本線車道からの離脱
本線車道から離脱するときの注意
案内標識による出口の確認
出口を予告する案内標識は、2キロメートル手前、1キロメートル手前、500メートル手前に設置されている。
案内標識を見落として行き過ぎた場合は、後退や転回をせずに、次のインターチェンジまで行かなければならない。
減速車線の活用
減速車線がある場合は、減速車線に入ってから減速する。感覚に頼らず、速度計を見ながら速度を落としていく。
ランプウェイ進入時の注意
カーブがきつく、こう配があり危険。十分に速度を落とし、規制速度をしっかり守る。
出口ゲート付近での注意
ゲート付近では、速度感覚が麻痺し、追突事故が多く発生している。どのブースに入るか早めに判断し、みだりに進路を変えないようにする。
一般道路へ出たときの注意
高速道路で走行していたときの感覚が残っているので、速度計を確認しながら走行する。